第一回 自問自答インタビュー

トロルは2009年に発足し、今年で活動16年目をむかえる。縁あって本を描くことになり、おしりたんていなどかれこれ20冊ほど描いてきたトロルだが、なぜ今頃ウェブサイトを作るのか? その真意に迫る。
取材・文 / トロル  
2025.8.26

──はじめまして、本日はよろしくお願いします。

「はじめましてって、出会ってから結構長いでしょ。もしかして緊張してる(笑)」

──こうやって取材するのは初めてなんで、思ったより緊張してます。

「知らない仲じゃないんだからさ。肩の力抜いて、なんでも聞いてよ」

──はい。ではなぜ今頃ウェブサイトを作ったんでしょうか?

「いきなり核心に迫るスタイルね」

──ええ。聞きたいことはそれだけなんで。

「え? それだけってどういうこと? もっとさ、場を温めてから本題に切り込んだほうが、真意ってもんに迫れそうじゃない?」

──トロルがトロルのために場を温める必要ってありますかね?

「うん、ないね。じゃあ、すぐ答えるね。なんで今頃ウェブサイトを作ったかだけど、ひとことで言うならライブ感を求めて…ってところかな」

──というと?

「本はさ、とにかく時間がかかるのよ。世に出るまで。今年の3月に出たおしりたんていファイルシリーズの『たいけつ! かいとうアカデミー スターサイド』(13巻目)&『たいけつ! かいとうアカデミー ムーンサイド』(14巻目)は2020年発売の『おしりたんていの こい』(10巻目)が出たあとくらいには、おおよその話は作ってたのよ」

──ええ!? 出版まで5年も…。本の制作ってそんなに時間がかかるもんなんですか?

「構想から出版まで5年ってことね。実際、本腰を入れて描くのはトロルの場合は長くて2年、短くても半年ほどかな。『たいけつ! かいとうアカデミー スターサイド』&『たいけつ! かいとうアカデミー ムーンサイド』は映画の公開日と本の発売日を揃えたんで、本腰を入れた期間は2冊で9カ月だったね。無我夢中だった~。よく間に合ったと思うよ」

──あの時期の記憶ってほとんどないですもんね(笑)

「そうそう(笑)。まぁそんな訳でさ、描いたらすぐ発表できる場を作ってみたくなったのよ」

──なるほど。だからライブ感と仰ったんですね。

「当ウェブサイトでデビューした『シルバーとナイス』はまさにライブ感オンリーで挑んでるよ。日本昔話高校に通う学生ってことと2人のプロフィールしか決めてないからね。物語がどう転がっていくのか自分自身も楽しみたいね」

──読者のみなさんが一番気になるのはかいとうUのスピンオフかなと思うんですけど、どの程度のライブ感をお考えですか?

「物語の大筋は決めてますよ。でも描いてて面白いシーンが出てきたら、どんどん膨らませちゃうかも。勘のいい読者は脱線しとるぞ~って、ツッコみたくなるかもしれませんね(笑)」

──ふふ。本とはまた違った楽しみ方ができそうですね。ところで、XやInstagramなどSNSで発表するという選択肢はなかったんでしょうか? 最もライブ感がありそうですが。

「あ~、SNSはライブ感が過ぎると思ったのよ。レスポンスの早さが大事な気がしてさ。トロルはフットワーク重いから」

──わかります。わかります(笑)

「ウェブサイトは本とSNSの中間って感じで、トロルにはむいてるのかなって。あれ? もうこんな時間!? 相棒の再放送が始まっちゃうよ。取材は終わりでいいかな」

──え!?

「相棒の再放送を観るってのは人生のルーティーンなの。自分くらいになると最初のシーンでストーリーの結末までわかる訳。そうやって脳に浮かんでいるストーリーの答え合わせをしながら観てさ、脳が衰えていやしないか確認するのよ。相棒は何度観ても面白いから」

──は、はぁ。

「今日はいろいろ話せて楽しかったよ。じゃ、また今度!」

トロルは半分ほど残っていたアイスコーヒーをグビ飲みし、猛ダッシュで喫茶店を出て行った。「また」が脳内に反響する。「また」取材はあるのか…。疑問は沸くがこの取材を第一回と銘打ち記事を締めることとする(了)